コロナ禍において、日本中央競馬会(JRA)の売上が好調に推移しています。
コロナの影響を受けて様々な業態がマイナスの影響を受けているにもかかわらずです。
今回は、JRAの業績について簡単に確認していきたいと思います。
JRAの業績
JRAの年間売り上げは9年連続で増加しています。
2020年の中央競馬の総売上は、2兆9,834億円で前年比103.5%となっています。
また、2020年の決算については、勝馬投票券収入と事業収入を合わせた事業収益が、前年比約884億円増の約3兆207億円になるとJRAが発表したと報道されています。
事業収益が3兆円を超えるのは17年ぶりです。
コロナ禍にもかかわらず、JRAは好調と言って良いのではないでしょうか。
JRAの業績要因
では、なぜJRAの業績は良いのでしょうか。
これは令和元年度(2019年)までのJRAが公表しているお客様総数と競馬場入場人員数のグラフです。
(出所 JRA「令和元事業年度 事業報告書」)
これを見ると分かる通り。競馬場入場人員数は近年横ばいなのに対して、お客様総数は増加してきています。
では、販売状況はどのようなものかと言えば、以下の通りです。
(出所 JRA「令和元事業年度 事業報告書」)
いわゆるリアルに購入する客よりも、電話・ネット投票が多くなってきていることが分かります。
JRAは既に電話・ネットという販売形態で売上の3分の2を占めるということになります。
次の図をご覧ください。
(出所 JRA「令和元事業年度 事業報告書」)
JRAは早い段階からA-PAT、即PATという形の販売チャネルを構築してきました。
A-PATとは、JRA指定の銀行にA-PAT専用の口座を新規に開設して利用する仕組みです。
A-PAT会員はパソコン・スマートフォンのみならず、携帯電話・プッシュホン電話で馬券を購入することができます。
即PATとは、JRA指定の銀行に口座を持っていれば、即日加入でき、その日から馬券を購入できる仕組みです。即PAT会員はパソコン・スマートフォン・携帯電話で馬券を購入することができます。
インターネットのみならず、プッシュホン(すなわち固定)電話で購入するという仕組みも構築していることが、強さにつながっている可能性がありそうです。
所見
JRAは、コロナ禍においても業績を向上させています。
その強さの秘密は、販売チャネルを時間をかけて構築してきたことにあるのではないかと筆者は考えています。
年配の方は、ネットが使えないとか、スマホが使えないと言いますが、JRAを見ていると、商品・コンテンツに魅力があれば、年配者であったとしてもECやコンテンツ配信は成り立つのではないでしょうか。
会員数447万人は相当な規模です。
Netflixは2020年9月に、2015年のサービス開始から5年を迎え、日本での有料会員数が500万人を突破したと発表していましたが、Netflix並みの会員数をJRAは誇るのです。
もちろん成長率ではNetflixに負けていますが、コロナ禍においても業績を伸ばしているというのは、かなり驚くべきことではないでしょうか。
もちろん、JRAは公営ギャンブルを運営しており、通常のコンテンツ販売とは異なります。それでも、「魅力的な」コンテンツであれば、コロナ禍であっても業績を伸ばすことができるという証明をしているように思います。
JRAの今後の動向にも注目していきたいところです。