2020年5月8日総務省が家計調査を発表しました。
2020年3月単月の消費動向が分かる貴重な統計です。
今回は、この総務省家計調査により新型コロナウィルス感染症拡大、外出自粛による消費への影響について確認しましょう。
家計調査の概要
まず、全体像をつかみましょう。
- 2020年3月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の実質消費支出は前年比▲6.0%(変動調整値)。減少は6カ月連続で、減少幅は2015年3月の▲10.6%以来の大きさ。尚、前月比(2020年2月比)では実質▲4.0%。
(出所 総務省「家計調査報告」)
(出所 総務省「家計調査報告」)
では、コロナショックの影響を受けた品目について、もう少し詳しく見ていきましょう。
消費行動に大きな影響がみられた品目
言わずもがなですが、2020年3月は、新型コロナウィルス感染症拡大阻止のため外出自粛要請が出ていた時期です。
外出自粛により消費行動に大きな影響がみられた品目について、総務省がまとめています。
(出所 総務省「家計調査報告」)
外出自粛、イベントの自粛等で幅広い品目で消費支出は減少しています。
その中でも、飲食店での飲酒代は実質で▲53.5%、パック旅行費が▲83.2%、映画・演劇入場料▲69.6%、文化施設入場料▲71.4%、遊園地入場・乗物代▲86.8%です。
また、入学式等の式典中止に加え、在宅勤務が影響しているのか、口紅が▲22.2%となっているのは筆者としては興味深いところです。
一方で、増加したものとしては、まさに外出自粛生活が如実に表れ、食料(家中消費)が増加しています。
尚、上表には掲載されていませんが菓子類は▲7.7%となっています。この要因については筆者は推測しか出来ませんが、加工食品としての菓子類を購入せずに、自宅で菓子類を作ったということなのかもしれません。
今回の外出自粛で大きな消費増となったのは、やはりゲームです。
ゲーム機が実質で+165.8%、ゲームソフトが+157.0%というのは驚異的です。スマホゲームではなくテレビゲームを選択したということなのでしょう。
一方で、巣ごもり消費といえば読書を想定していましたが、書籍は実質で+12.3%となりました。ゲームに負けたというところでしょう(個人的には残念です)。上表に掲載されていませんが、教育は▲17.4%でした。2020年3月は、少し日本全体では家の中で遊びすぎたかもしれません。
そして、あそこまで大騒ぎになったトイレットペーパーは実質で+26.4%になりました。
所見
この消費支出の傾向は、2020年4月も同様でしょう。
日本の消費支出は、消費増税により減少していたところに、コロナショックがダメ押しをしました。結果論ですが、消費増税は最悪のタイミングでなされたとも言えるかもしれません(良い悪いの話をしているのではありません)。
そして、やはり巣ごもり消費では、消費総額は低下していきます。人は外で活動するからこそ消費するのです。ゲームだけでは日本経済は支えられません。
新型コロナウィルスの感染拡大防止と、経済の底割れ防止の両立を図るために、どのようにすべきか、政府として更なる政策の検討が必要でしょう。
(筆者の裏ブログにおける関連記事です)