銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

金融庁の検査・監督基本方針に対する地銀の懸念

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2017年12月15日に金融庁は「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)(案)」を公表し、この案につき意見募集を行っていました。

「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」(案)への意見募集(2月14日まで)について

今回の記事では、全国地方銀行協会(地銀協)が公表していた金融庁への意見内容について確認します。

地方銀行の置かれている状況、問題点、悩み等が浮かび上がってきていますので参考になるかと思います。

地銀協の意見については読み物としても面白いかもしれません。

金融検査・監督の考え方と進め方とは

まず、「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)(案)」とはどのようなものなのか、以下確認していきます。

まずはこの方針の趣旨について金融庁が説明している内容を引用します。

本方針の趣旨

金融行政の質を高め、我が国の金融力を高め、経済の潜在力が十全に発揮されるよう、当局と金融機関が日々自己革新を行い、共に前に進めるようにするにはどうしたらよいか。
従来の検査・監督のやり方のままでは、重箱の隅をつつきがちで、重点課題に注力できないのではないか。バブルの後始末はできたが、新しい課題に予め対処できないのではないか。金融機関による多様で主体的な創意工夫を妨げてきたのではないか。

本方針は、金融モニタリング有識者会議が平成 29 年3月に公表した報告書「検査・監督改革の方向と課題」を踏まえ、金融行政の視野を「形式・過去・部分」から「実質・未来・全体」に広げ、金融行政の究極的な目標の達成により効果的に寄与できる新しい検査・監督を実現するために、基本的な考え方と進め方を整理したものである。

本方針案の主なポイント

<金融行政の基本的な考え方>

  • 金融行政の目標の明確化
  • 金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、利用者保護/利用者利便、市場の公正性・透明性/市場の活力のそれぞれを両立させ、
  • これを通じ、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指す。
  • 「市場の失敗」を補い、市場メカニズムの発揮を通じて究極的な目標を実現。
  • 「形式・過去・部分」から「実質・未来・全体」に視野を広げる。
  • ルール・ベースの行政からルールとプリンシプルのバランス重視へ。

<検査・監督の進め方>

  • 実質・未来・全体の視点からの検査・監督に注力。
  • 「最低基準検証」を形式チェックから実効性の評価に改める。
  • フォワードルッキングな分析に基づく「動的な監督」に取り組む。
  • ベスト・プラクティスの追求のための「見える化と探究型対話」を工夫していく。
  • チェックリストに基づく網羅的な検証から優先課題の重点的なモニタリングへ。
  • 定期検査中心のモニタリングからオン・オフ一体の継続的なモニタリングへ。
  • 各金融機関の実情についての深い知見、課題毎の高い専門性を蓄積し、金融機関内外の幅広い関係者との対話を行う。

<当局の態勢整備>

  • 外部からの提言・批判が反映されるガバナンス・品質管理。
  • 分野別の「考え方と進め方」などを用いた対話を進めていく。
  • 平成30年度終了後(平成31年4月1日以降)を目途に検査マニュアルを廃止(金融機関の現状の実務の否定ではなく、より多様な創意工夫を可能とするために行う)。
  • 新しい検査・監督のあり方に沿って、内部組織・人材育成・情報インフラを見直す。

本方針の問題意識と新しい検査・監督

<問題意識>

  • 従来のやり方では、重箱の隅をつつきがちで、重点課題に注力できないのではないか。
  • バブルの後始末はできたが、新しい課題に予め対処できないのではないか。
  • 金融機関による多様で主体的な創意工夫を妨げてきたのではないか。

<新しい検査・監督>

  • 以下を中心に取り組む。
  • 普段から金融機関についての理解を深め、重点課題に焦点を当てる「全体を見た、実質重視の最低基準検証」
  • 将来の健全性を分析し、前広に対応を議論する「動的な監督」
  • 横並びでない取組みに向けた動機とヒントを提供する「見える化と探究型対話」
  • 検査マニュアルの廃止
  • 外部からの提言・批判が反映されるガバナンスと品質管理
  • 人材育成・確保、組織改革

出典 金融庁ホームページ 

http://www.fsa.go.jp/news/29/wp/wp.html

http://www.fsa.go.jp/news/29/wp/supervisory_approaches.pdf

全国地方銀行協会の意見総論

以上が金融庁の新しい方針でした。

この方針に対して、地銀協が総論としてどのような意見を述べているかにつき以下確認していきます。

少々長いですが、エッセンスとしては重要ではないかと思います。


<総論>

金融行政の目標を「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成による国民の厚生の増大」として明確化し、金融行政の視野を「形式・過去・部分」から「実質・未来・全体」に広げ、金融システムの安定と金融仲介機能の発揮、利用者保護と利便、市場の公正性・透明性と活力の両立を通じて目標実現を目指すとの考え方は、地方銀行における経営課題の認識や対応の方向性とも合致しており、基本的に賛同できる。

また、ルールベースからルールとプリンシプルベースのバランスを重視したアプローチに転換することについても、地方銀行の経営や業務の自由度を高めるものとして、基本的に歓迎する。

そうした流れの中、検査・監督の焦点が「ビジネスモデル」や「企業文化」といった定量化・可視化が容易ではない領域にシフトし、また、「フォワードルッキングな分析」、「探求型対話」といった不確実性を伴う手法が取り入れられることは、適切に運用されなければ、「過剰規制・過剰介入によって市場を歪める、金融機関の創意工夫を不必要に制限する、過度な裁量により民間部門での予見可能性が損なわれる」等のリスクにもつながる可能性がある。

このため、以下の3点に十分留意した運用をお願いしたい。

  • 新たな検査·監督のアプローチにより、貴庁の行政方針の透明性・予見
    可能性が低下した場合、かえって金融機関の適切なリスクテイク行動の委縮や規制対応コストの増加を招き、顧客本位の業務運営の追求に水を差しかねない。そうしたリスクを十分意識したうえで、継続的な対話や適時適切な情報提供等により、高い公平性・透明性を確保しつつ実効性のある「検査・監督の品質管理」を進めていただきたい。また、政策全体の費用対効果の客観的・定量的な検証を不断に行っていただきたい。
  • 「ベスト・プラクティスのための『見える化』」は、客観性、比較可能性が十分確保されていない形で行われた場合、利用者や市場の混乱を招き結果として、金融機関の創意工夫を制限することにつながりかねない。
    KPIや開示された情報を判断する主体は利用者や市場であるため、庁は金融機関間の競争に不必要に関与することなく、金融機関の企業秘密等にも配慮しつつ、「市場メカニズムの発揮」につながるような指標の選定、開示方法等に留意いただきたい。
  • 金融機関が多様で主体的な創意工夫を発揮することができるよう、環境整備として、他業禁止を含む業務範囲等の規制緩和、公正な競争環境の確保、他の関係省庁との連携等を柔軟かつ速やかに進めていただきたい。

出典 全国地方銀行協会ホームページ

http://www.chiginkyo.or.jp/app/story.php?story_id=1341

http://www.chiginkyo.or.jp/app/entry_file/news20180213.pdf

如何でしょうか。

この地銀協の意見について以下でさらにみていくことにしましょう。

地銀協の金融庁に対する意見 

以下で金融庁の「金融検査・監督の考え方と進め方」の詳細項目についての地銀協の具体的な意見をみていきます。

地銀協が金融庁に対してどのような懸念等を抱いているかが、よくわかると思います。

まず、金融庁の新方針に関する具体的な項目・箇所を挙げ、その後、それに対する地銀協の意見を記載します。最後に筆者のコメントを入れていきます。

括弧内は金融庁公表資料の該当ページとなります。

 

<金融庁>

Ⅱ金融行政の基本的な考え方、2「市場の失敗」と金融行政の役割(3P)

金融仲介機能の発揮についても、個別金融機関の地域経済に対する貢献の効果を当該金融機関だけでは享受できないことから生じる外部経済、量的拡大路線から最初に離脱しにくい囚人のジレンマ、金融機関ごとの違いが顧客からは見えにくい情報の非対称性の問題等があり、これらに対処することが当局としての役割と考えられる。

第二に、金融機関と利用者の間には、情報の非対称性や問題への対処能力の格差が存在することから、当局は利用者保護のための役割を果たすことが期待される。利用者利便を巡っても、利用者が商品・サービスを比較検討し自らに合ったものを選ぶための環境が整っていないために、運用力や顧客本位の業務運営の水準の違いが顧客からの選択・支持に反映されず、さらには金融機関の成長の違いにつながらないという問題(情報の非対称性や個人の限定合理性の問題)等があり、これらに対処することが当局としての役割と考えられる。

<地銀協> 

貴庁は「利用者が商品·サービスを比較検討し自らに合ったものを選ぶための環境が整っていない」状況にあると認識していると思われるが、各種金融機関ランキングやインターネットの比較サイトのように、実際に一般市民が情報を得られる機会は既に確保されているなど、情報の非対称性の問題は民間で十分対応可能ではないか。
自助努力や創意工夫で戦略的に広報を実践している金融機関が顧客認知度の点で比較優位にあることは、「健全な競争環境」と言える。金融サービスの利用者が主体的に商品·サービスを選択できるよう、貴庁は金融機関の商品制限ではなく情報提供態勢を監督し、「態勢が整った金融機関が顧客から選ばれる社会の流れを作る」との役割に徹していただきたい。(以下略)

<筆者>

これは、主に金融庁が金融機関が販売する投資商品についてまで、口を挟んできていることに対する牽制でしょう。

IDeCoはともかく、毎月分配型の投資信託(例えば不動産リートの投信) 等につき、金融庁の指摘により、各金融機関が販売自粛に追い込まれている状況への不満を述べたものです。

 

<金融庁>

 Ⅲ検査・監督の進め方 

1「実質・未来・全体」を実現するための3つの手法(4P)

従来、形式・過去・部分への集中の傾向がみられた検査・監督を、実質・未来・全体の視点に重点を置いたものに転換し、金融行政の目標を各目標間のバランスの取れた形で実現していくために、検査・監督の進め方を見直す。

<地銀協>

形式基準がなくなり、裁量部分が増加することで、検査官毎にバラつきのある検査·監督とならないよう、貴庁において、今回の見直しの考え方を検査官等に理解·浸透させるとともに、金融機関の実態を踏まえて対話のできる専門人材を育成していただきたい。

プリンシプルを実務に落とし込む段階において、貴庁と金融機関の間で一定の目線を共有することで、検査·監督の見直しの円滑な移行を図るためにも、金融機関に対し実務的で分かりやすい説明を行っていただきたい。例えば、「ベスト·プラクティス」の「ベスト」は「最高」との意味合いが強く、現場レベルにおいては、多様な経営判断等が否定されているようにも受け取られかねない(「望ましいあり方の一類型」や「好事例」等とした方がよい)など、外来語を多用することによる認識のブレ等にも留意していただきたい。

<筆者>

この項目は形式基準の検査から金融庁が脱却する際に、行政の裁量が拡大することを地銀側が懸念しているものです。

そして、金融庁の職員には、もっと地銀の業務、実情を勉強しろ、としています。

また、「ベスト」とお上に言われれば、「そうしなければならない」と地銀側は受け取ってしまう、という認可業種の悲しい行動原理も述べています。

 

<金融庁>

Ⅲ検査・監督の進め方

2優先順位の機動的な見直し(5P)

こうした新しい経営環境の下では特に、適切なリスクテイクを通じた収益性の確保なしには持続的な健全性を確保することはできない。

<地銀協> 

足元の国内市場の縮小や低金利の継続等の環境下において、継続的なリスクテイクによる収益確保を実現することは困難であるため、それ以外の多様な創意工夫に取り組むとが重要性を増していることを強調すべきではないか。

<筆者>

国内の市場縮小、低金利環境下では、継続的にリスクテイクをしても収益は確保できないという地銀側の認識を伝えています。

本業である貸出以外でも取り組みを強化すべきと地銀側が考えていることの表れでしょう。

 

<金融庁>

Ⅲ検査・監督の進め方
2優先順位の機動的な見直し(5P)

顧客本位の業務運営の原則に照らし、各金融機関の業務運営について対話するとともに、顧客が良い商品・サービスを提供する金融機関を選びやすいよう、その活動内容の「見える化」に取り組んでいく。

<地銀協>

各金融機関の取組みを最終的に判断し、金融機関を選別するのは顧客である。「見える化」に取り組む主体は金融機関であり、貴庁は望ましいと考える「見える化」を例示するに留めることが適当ではないか。

<筆者>

金融庁は銀行の経営が失敗しても、結果責任は負いません。経営責任を負っているのは銀行の経営者です。

そして、銀行を選ぶのも金融庁ではなく顧客です。

地銀側は金融庁に余計なところまで手を突っ込んでくるな、と言っているということです。

 

<金融庁>

Ⅲ検査・監督の進め方
3最低基準の遵守状況を確認する「最低基準検証」(5P)

チェックリストの個別項目を満たしているか否かではなく、ガバナンス、企業文化、内部管理態勢が全体として必要な実効性を有しているか否かを評価することを検証の目的とする。

個別の内規の策定・実施状況の確認等、内部監査に委ねるべき事項は内部監査に委ねる。

<地銀協>

「企業文化」の実効性評価においては、本部ではなく営業店に対する検査·監督も行われると想定されるため、営業店に不必要な負担がかかることのないよう配慮いただきたい。
ガバナンスや企業文化の意味するところは幅広く、些細な非違でもガバナンスや企業文化に結び付けることが可能であるため、「内部監査に委ねるべき事項」の考え方等を示すなど、裁量の幅が広くならないように留意していただきたい。

<筆者>

ガバナンスや企業文化は複合的で、目に見えない微妙なものです。

これを評価するのは非常に難しいといえます。

地銀側としては、幅広過ぎる口出しはやめて欲しい、というところでしょう。

 

<金融庁>

Ⅲ検査・監督の進め方
4持続性可能な最低基準充足を確保するための「動的な監督」(7P)

  • 金融機関ごとの経営環境(地域経済の動向、人口動態等)、ビジネスモデル(貸出や有価証券運用の経営方針等)、リスク特性を踏まえた分析を行い、根本問題について仮説を構築すること
  • 構築した仮説を起点に、金融機関の自己評価を十分に踏まえながら、金融機関との間で深度ある対話を行い、課題及びその原因を明確化し、金融機関と共有すること(見方に違いが残る場合には違いを確認した上で議論を継続すること)
  • 共有された課題認識に基づき、金融機関において具体的な改善策が策定されるよう求め、改善状況のフォローアップを行うこと

<地銀協>

仮説を設定する際は、機械的画一的なものとならないよう、貴庁内で十分な議論を行っていただきたい。
権限を持って監督する側の当局と被監督側の金融機関との対話において、双方の見方が違う場合等は、対等の対話は期待できず、実質的に当局による行政指導となる。経営判断等に関わる実質的な行政指導が安易に行われることがないよう、行政手続法第35条第3項(行政指導が口頭でされた場合において、相手方から書面の交付を求められた場合、行政指導に携わる者は行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない旨規定されている)の趣旨を踏まえ、当該対話における当局側の意見について書面の交付を求めることができるようにしていただきたい。
また、双方向の対話を有益なものとするため、金融機関における自己評価、課題、改善策等に関する貴庁の対話の仕方についても十分留意していただきたい。例えば、「見方に違いが残る場合には違いを確認した上で議論を継続するとあるが、貴庁の見解と金融機関の見解に優劣を付け難い場合などは、議論を継続してもすぐに収束することは見込めない。議論を継続するのは貴庁の見解が正しいとの立場を維持するものであるため貴庁は見解の相違を受け容れるようにしていただきたい。

<筆者>

金融庁と銀行の力関係が良く分かる地銀側のコメントでしょう。 

バブル後の不良債権処理時代に、金融庁がいかに強権的だったが表れています。

 

<金融庁>

Ⅲ検査・監督の進め方
5ベスト・プラクティスのための「見える化と探求型対話」(8P)

当局としては、1)ルールとチェックリストを中心とした枠組みからプリンシプルや考え方と進め方を中心とした枠組みに移行すること等により、創意工夫をできるだけ阻害しないようにするとともに、2)開示の促進等を通じて、ベスト・プラクティス追求の誘因を弱めている要因を取り除くように努める。

<地銀協> 

ベスト·プラクティスの開示の促進等に関し、例えばガバナンスやリスク管理、サイバーリスクへの対応等の創意工夫については、金融機関全体で共有する必要がある。一方、商品·サービスの充実や顧客への向き合い方の創意工夫等は、各金融機関の「企業秘密」であり、競争力の源泉であるなど、ベスト ·プラクティスを開示することが自由競争の面で馴染まない項目 ·領域は多い。貴庁の示唆するベスト·プラクティスを実践することで、金融機関や金融サービスの均質化が進み、競争力の向上につながらない懸念もあることから、貴庁が「ベスト ·プラクティス」を開示したり、優良な開示例等を示したりすることの是非については、さらなる議論が必要ではないか。
仮に貴庁が「ベスト·プラクティス」を開示する場合は、金融機関の企業秘密や創意工夫を保護する仕組みが必要ではないか。

<筆者>

勝手に自行の企業秘密を他行に明かさないで欲しいという要望です。

規制業種であり、何から何まで検査・監督をされる銀行ならではの悩みでしょう。

 

<金融庁>

Ⅲ検査・監督の進め方
6「最低基準検証」「動的な監督」「見える化と探求型対話」を通じた進め方(10P)

新しい検査・監督において実効性のある対話を実現するためには、各金融機関固有の実情についての深い知見の蓄積が不可欠である。また、ビジネスモデル・経営分析、ガバナンス、リスク管理、資産運用等、課題に応じた高い専門性に基づく分析が必要となる。従来もメガバンクについて常時継続して担当する検査官(日本版Examiner in Charge)の設置や業務・リスクカテゴリーごとの専門検査チームの編成を試みてきたところであるが、検査・監督の過程、組織、人材面を通じ、取組みを更に深化させていく。

<地銀協>

各地域金融機関が置かれている状況は、各地域の経済状況等により区々であるため、貴庁が金融機関毎に専担者を置くことで、より理解·把握することが可能になると思われる。金融機関も自行をよく知っている専担者がいることで、対話しやすい環境が整備されていくと思われる。したがって、検査官の担当期間の長期化や同じような環境にある金融機関を複数担当するなど、検査官の体制を柔軟に工夫していただきたい。例えば、メガバンク等と同様、地銀においても貴庁の専担者を設置することや、エリア毎の実情に熟知した「地銀チーム」、「地銀スペシャリスト」を養成すること等も考えられる。

<筆者>

要は金融庁の職員は地銀のことを分かっていないということです。

メガバンクには専任の担当者ご存在するのに、地銀にはいないとはっきりと述べています。

 

<金融庁>

Ⅳ当局の態勢整備

2検査・監督の品質管理 

現場任せ・担当者任せにせず、組織として品質管理する仕組みを強化する必要がある。

<地銀協>
貴庁において新たな検査·監督の実施状況をどのように捉え、評価しているかを「見える化」することは、金融機関との共通認識を深め、検査·監督の質等の向上を促進することにつながることから、品質管理の過程においても、検査·監督に関する考え方が貴庁内でどのように議論されているか開示していただきたい。

<筆者>

銀行に見える化を要求するなら、金融庁も見える化をしろということです。

まとめ

以上、如何だったでしょうか。

地銀の金融庁に対する懸念、問題意識が伝わってきたのではないでしょうか。

近時の金融庁は、地銀に対してかなりの介入をしています。

投資信託の販売、アパートローン、カードローン、不動産業向け貸出、外債投資等、例は大量にあります。

地銀側は生き残るために、儲かりそうな業務に注力してきましたが、金融庁はそれを否定してきた訳です。

金融庁のこれからの「裁量」がどのようになっていくのか、筆者としては注目しています。

ただし、あの強権的な金融庁が変わるとは想像できない、というのは筆者の思い込みかもしれません。