ビットコインについて連日で様々な記事が出ています。
筆者はビットコインは専門外ですが、ビットコイン・仮想通貨ついては非常に興味があるため、今回の記事で考察します。
直近の報道
直近の報道を見ているとJPモルガンのCEOがビットコインを詐欺と発言し、自行のトレーダーが取引を行えば解雇するとしています。
また、中国政府も国内でのビットコイン取引所における同コインの取引停止を命じているようです。
www.jiji.comこのような一連の報道を受けてビットコインの取引価格は動きが激しくなっています。
では、そもそもビットコインのような仮想通貨とはどのようなものなのでしょうか。
筆者は技術的なことは専門外ですので、経済学・法的な観点で考察します。
仮想通貨とは
まず、ビットコインは仮想通貨と呼ばれています。
そもそも通貨とは何でしょうか。
通貨とは
(日本大百科全書(ニッポニカ)の解説から一部抜粋)
一般には一般的交換手段・支払手段、価値の尺度、価値の貯蔵手段という三つの機能を果たすものを通貨という。定期性預金も準通貨として広く解釈されるが、狭義にはとくに支払手段(決済手段)として機能するものを通貨とよんでいる。実際、今日における代表的通貨は現金通貨(銀行券および補助通貨)であるが、このほか銀行などの当座預金・普通預金などの要求払預金も預金通貨とよばれて、通貨として重要な役割を演じている。当座預金は小切手の振出しによって払い戻すことのできる預金であるが、小切手が流通し、手形交換所を通じて多数銀行間の預金の移動によって決済を行うことができることから、現金通貨に比較して重視されるようになった(いわゆるキャッシュレス・ソサイエティー)。ついで、公共料金の口座間の自動振替え、給与の自動振込み、クレジットカードの使用による口座間の預金の移動による決済制度などが拡充されるとともに、小切手を伴わない預金通貨の決済機能がいっそう重要視されるに至った(チェックレス・ソサイエティー)。こうした傾向は、今後、金融の分野でのエレクトロニクス化の進展に伴い、さらに進むものと考えられる。
コトバンクより引用
https://kotobank.jp/word/%E9%80%9A%E8%B2%A8-98905
交換手段とは、その経済社会の中で提供されているモノ・サービスに見合った通貨を提供することによりモノ・サービスを交換できるという機能です。単純に言えば、お金を支払いモノを買うことができるという機能です。通貨に交換の手段としての機能があることで、モノ・サービスのやりとりが非常に活発化します。物々交換の場合は、モノとモノの交換になりますので、必要ないものとの交換はしません。一方で、通貨の場合は別のあらゆるモノ・サービスと交換することができるため、取引は活発になります。
価値の尺度とは、その経済社会の中で提供されているモノ・サービスに対して金額という尺度で評価することによりそれぞれの価値を相対的に示すことができるようになる機能です。例えば、マグロが500円、サンマが100円というように、モノ・サービスに値段という尺度を与えることで、価値を判断しやすくなります。
価値の貯蔵手段とは、例えば紙幣は紙が痛むということは合っても、時間が経過することで腐ったり、価値がなくなったりせず、価値は保たれます。この機能を価値の貯蔵手段といいます。
ビットコインの現状
上記の定義に即すると、ビットコインは確かに通貨となる可能性を秘めています。
ただし、ビットコインは交換手段としては未成熟です。利用できるお店等は非常に限定されているためです。
日本においては、ビットコインの用途は、決済が5%、投機(投資)が95%との記事も存在します。(以下の記事2ページ目)
すなわち、日本においては価値の貯蔵手段としての機能にほとんどの焦点が当たっているということがいえるでしょう。
交換手段でないならば、ビットコインの実需はありません。決済手段として使用しないのであれば、誰もビットコインを借りて支払いを行いませんので、金利も発生しません。そのため、現在のビットコイン相場はファンダメンタルズ要因はほとんどなく、完全にセンチメント(投資家の期待、気分)要因で変動していることになります。
ただし、商品である「金」が実需と関係なく相場が存在しているように(金には利息もつきません、ただし、宝飾需要はあります)、「価値の貯蔵手段」としての機能しか実質的になくとも、投資商品足りえる可能性はあります。
ビットコインは完全に人々の期待・思惑等の上に価格が成り立っている状況にあります。
ビットコインの今後
ビットコインに対しては各国政府が規制を強める可能性があります。
JPモルガンのCEOの発言にあるように既存金融企業からもビットコインに対するネガティブな反応があることも予想されます。
基本的にビットコインが問題になっている点は、利用者保護とマネーロンダリングです。そのため、ビットコインについては各国で利用に制限がかかる可能性も十分にあり得ます。
しかし、ビットコインが人気を集めた理由は政府の関与がない暗号通貨にあるという点でもあるのです。
国家の信用に依拠しない、完全に技術的な側面から価値を担保する仮想通貨に人々が価値を見出したともいえます。
金融における量的緩和施策の結果増大した政府債務、これから本格化する少子高齢化による社会保障費の増大=政府債務の増大等により、国の信用によって成り立っている通貨を信用できないと考える人が出てきていてもおかしくはないのです。
なお、日本の借金(他国債務のGDP比についても掲載あり)については、以下のHPがわかりやすいかもしれません。
そのため、足元ではビットコイン価格の暴騰・暴落がニュースとなっていますが、投資対象商品としての仮想・暗号通貨は今後も発展する可能性があるのではないかと筆者は想定しています。
今後の普及のポイントは投機商品としてのみならず、交換手段としての価値を提供できるかどうかにかかっているのかもしれません。