銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

日本を日本人はどのように見ているのか

世界第3位の市場調査会社であるイプソスが 「ポピュリズムに関するグローバル調査2024年」を公表しています。 この調査では、既存の政治体制に対する国民の不満と、国を立て直すために指導者が「ルールを破る」ことを望む国民の意思等を調べています。 筆者…

NISAをS&P500とオール・カントリーのどちらで運用するかという議論

本年より新NISA がスタートしました。新NISAは様々な意味で投資がやりやすくなっており人気となっています。 このNISAで「何に投資するのか」「どのような金融商品を買うべきか」というところは特に投資の初心者ほど悩むところでしょう。 様々な媒体では、米…

日独GDP逆転の要因と考えるべきこと

日本のGDP (名日国内総生産)がドイツに抜かれ世界4位に転落したと大きく報じられています。日独のGDP逆転は1968年以来となります。 日本は2010年に中国に抜かれて以来、世界3位のGDPでしたが、ついに4位まで転落してしまったことになります。 なぜ日本はドイ…

食品値上げの現状を簡単に確認しておく

帝国データバンクが食品値上げの状況について発表しましたが、2月の食品値上げは1,626品目となっています。4ヵ月ぶりの1千品目台であり、更に4月は3千品目超えのラッシュの可能性があるとしています。今回は、家計に大きな負担を強いている食品の値上げ状況…

中国の住宅はどうなっていくのか

中国の株価が大幅に下落しています。 日本や米国の株式市場は高値が続く一方、中国の株式市場では株安に歯止めがかかっていません。不動産不況の深刻化が主因となり、中国市場から投資マネーが逃げ出していると解説されており、中国の株式市場は1人負けの様…

イーデスに『私が「資産運用は新NISAだけで十分」と考えている理由』を寄稿しました

イーデスというWebメディアに記事を寄稿しました。 イーデンスは生活の決断に最適な答えを導くライフスタイル総合メディアとして、クレジットカードやカードローン、住宅ローンなど「生活のお金」に関する情報をはじめ、証券投資やふるさと納税など「投資・…

ビットコインETFとは何か

米証券取引委員会(SEC)が暗号資産(日本政府や当局は暗号資産と読んでいますが、仮想通貨の方が一般的な名称と思います)であるビットコインを運用対象とする上場投資信託(ETF)の上場申請を初めて承認しました。 そして、1月11日から米資産運用大手のブ…

干支の相場格言を確認しておきたい

年が明け辰年となりました。 2024年は能登半島地震があり、すぐに航空機事故がありと、年初から大きなニュースが相次ぎました。 今年はどんな年になるのか不安に感じた方も多いのではないでしょうか。 今回は、株式相場についての相場格言を確認し、今年を占…

2023年の御礼

2023年が終わります。 皆様にとって2023年はどのような年だったでしょうか。 筆者にとっては本業の仕事が忙しくなり、ほとんどブログを書く時間が無い年でした。 コロナが明け、接待や飲み会が多くなり、労働時間も激増し、ブログに回せる時間は激減してしま…

将来推計人口から目をそらさないようにしたい

国立社会保障・人口問題研究所が2050年までの地域別の将来推計人口を公表しました。 2050年(30年後)の将来推計人口は、我々が住んでいる街が大きく変化せざるを得ないことを突き付けてきます。 人口統計は唯一といっても良いほど将来予測の精度が高いもの…

クリスマスの意識調査に思う

早いもので、もう少しで2023年のクリスマスが到来します。2023年は久しぶりにコロナの影響が無いクリスマスです。街も少し華やぎ、人出も増えてきているように感じられるのではないでしょうか。 今年はどんなクリスマスになるのか、少し確認してみましょう。…

日本銀行が保有する国債の含み損を現時点で気にすることはない

日本銀行(日銀)が保有する国債の含み損が2023年9月末時点で10兆5,000億円に拡大し、比較可能な2004年度以降で最大となったと報じられています。この理由は、日銀による金利操作の見直しで長期金利が上昇したことが主な要因と言えます。 円安で輸入物価が上…

どうやらバルミューダが本当に崖っぷちにいるらしい

トースターで一世を風靡したバルミューダの業績が悪化しています。 バルミューダは、2021年11月にスマートフォン市場に参入したものの、鳴かず飛ばずで今年撤退していましたが、不採算事業から撤退することで得意分野へ注力し、業績が回復していく可能性があ…

楽待不動産新聞に『やはり破綻したWeWork、「単なるレンタルオフィス」に投資家はなぜ群がったのか』を寄稿しています

楽待不動産新聞に『やはり破綻したWeWork、「単なるレンタルオフィス」に投資家はなぜ群がったのか』を寄稿しました。 今回はWeWorkの破綻について取り上げています。 筆者は、楽待不動産投資新聞に度々寄稿しています。9月時点でWeWorkは破綻せざるを得ない…

フラット35の事例にみる住宅ローン金利上昇の怖さ

住宅金融支援機構が、「フラット35」(買取型)の11月の適用金利を発表しました。金利は上昇しています。 金利が上昇する時代において、我々が気になるのはやはり住宅ローンでしょう。毎月の家計に大きく影響するためです。 今回は、金利上昇が住宅ローンの支…

消費者金融でお金を借りる人はバカなのか?

論破王として名高い、実業家の西村博之(ひろゆき)氏がWeb上の番組に出演し、借金についての持論を語ったとして話題になっています。 ひろゆき氏は「消費者金融でお金を借りる人は基本的に皆さんバカだと思います」と発言したと報じられています。 この発言…

全銀システムとは何か?どこに問題があったのか?

全国銀行資金決済ネットワークが運営する銀行間の送金システムである「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」に障害が発生したニュースがマスコミで大きく取り上げられたことは記憶に新しいでしょう。三菱UFJ銀行、りそな銀行等の金融機関で他行宛て…

外国人の宿泊者数がついにコロナ前を回復

近時、日本を訪れる外国人旅行者が増えたと耳にすることが増えました。確かに、都心の商業地区や公共交通機関で大きなスーツケースを持った外国人旅行者を見ることが多くなりました。 では、実際にどの程度の外国人旅行者が日本を訪れているのでしょうか。 …

植田日銀総裁の講演にみる日銀の財務と金融政策

植田日本銀行総裁が、日本金融学会にて、講演を行いました。 この講演のテーマは「中央銀行の財務と金融政策運営」となっています。同講演では、日本銀行の政策について触れていますが、まさに中央銀行である日本銀行の財務と金融政策の関係性が非常に分かり…

パインアメの会社ってどんな会社?

阪神タイガースが2023年のセントラルリーグ優勝を果たしました。 阪神タイガースのWebサイトには「阪神タイガースは対読売ジャイアンツ23回戦にて4-3で勝利し、18年ぶり6度目となるJERA セ・リーグ公式戦での優勝を果たしました。」と誇らしく記載がありま…

ジャニーズ事務所の資産はどのぐらいあるのか

芸能界で無類の強さを誇っていたジャニーズ事務所が揺らいでいます。故ジャニー喜多川前社長の性加害問題は、外圧によってオープンになってきました。 人権という観点、閉鎖的な組織の問題という観点、トップの犯罪にどのように対処していくべきなのかという…

三菱UFJ銀行の振込手数料引き上げの背景と今後

邦銀最大手の三菱UFJ銀行が2023年10月より振込手数料を引上げると話題になっています。この手数料引き上げは、窓口だけではなく、三菱UFJ銀行のATM やコンビニATMでの振り込み手数料も引上げるというものです。ネットバンクを除く全ての振込手数料が引き上げ…

ストライキというものについて改めて確認してみる

ついに池袋西武(西武池袋本店)でストライキ(スト)が決行されました。8月31日は日本有数の売上高を誇る池袋西武が終日臨時休業に追い込まれた日になりました。 セブン&アイHD傘下の大手百貨店「そごう・西武」の労働組合は、従業員の雇用維持を求めてス…

三菱UFJ信託銀行の転勤手当新設は転勤があるすべての人にとって良い流れ

三菱UFJ信託銀行が、引っ越しを伴う転勤者に一律で50万円を一時金として支給する新制度を導入すると報道されています。この背景については、新聞報道では、「近年は辞令による転居に抵抗感を持つ若手社員が増え、人手不足で採用の「売り手市場」も強まってい…

楽待不動産投資新聞に『米で破産法申請の「恒大集団」、破綻したらどのぐらいヤバいのか』を寄稿致しました

楽待不動産投資新聞に『米で破産法申請の「恒大集団」、破綻したらどのぐらいヤバいのか』を寄稿致しました。楽待不動産投資新聞への記事の寄稿は、気づけば55回を数えているようです。随分と回数を重ねた気が致します。 今回は中国恒大集団の状況について整…

「全く喜べない」年率6%増加したGDPの裏側

日本の2023年2Q(4~6月)の国内総生産=GDPが発表されました。年率換算で+6.0%という数字は市場の予想を大きく上回るサプライズとなったと思われます。 日本は景気が良くなってきたのでしょうか。それともこの数字には何か落とし穴があるのでしょうか。 今回…

相対的貧困率のデータから見えてくる日本の社会

2023年7月に厚生労働省から「国民生活基礎調査」の最新値が公表されました。2021年の日本における相対的貧困率は15.4%となっており、経済協力開発機構(OECD)が公表する各国の貧困率の最新値でみると、米国(15.1%)、韓国(15.3%)に抜かれ先進国最悪とな…

この国の借金について真剣に考える時が来ている

日本の国債残高は1,000兆円をコロナ禍において超えました。日本の財政収支は、他の主要国と同様に2008年のリーマンショックの影響による悪化から改善傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症や物価高騰等への対応のため、2020年以降は大幅な赤字となっ…

日本の人口減少を冷静に数字で見る

2023年1月1日現在の住民基本台帳に基づく全国の人口は、総計1億2,541万6,877人、日本人住民は1億2,242万3,038人、外国人住民は299万3,839人となっていると、総務省から発表されました。 特に、日本人住民は、前年(1億2,322万3,561人)に比べ、80万523人減少…

通勤手当の課税化は愚策であると指摘したい

政府の「サラリーマン増税」検討に対する批判が続いています。近時は、国の税収が過去最高の70兆円を超える中において、政府税制調査会が増税を検討していることが大きく報じられて います。この政府税制調査会は、サラリーマンの退職金への増税等を中期答申…