銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆうちょ銀の他行ATM置き換えは有効な戦略

ゆうちょ銀行の預入限度額の撤廃(現状1,300万円が上限)についての議論がなされています。 銀行業界からは反発の声が強まっているようです。 一方で銀行業界とゆうちょ銀行とは様々な提携関係にもあります。 今回の記事ではゆうちょ銀行の他行ATM置き換え戦…

 三菱UFJ銀のAI融資はいつか来た道か~スコアリング融資との比較と課題~

三菱UFJ銀がAIを使った中小企業向け融資を始めるようです。 この話題を聞くと10年以上前に流行ったスコアリング融資の失敗を思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回の記事ではAI融資とスコアリング融資を比較し、AI融資の成否について考察しま…

みずほFGと三井住友トラストとの資産管理銀行統合はメガバンク再編の序章か

2017年3月に基本合意が発表されていたみずほFGと三井住友トラストHDとの資産管理銀行統合の具体像が日本経済新聞で報道されました。 今回の記事は、この両銀行グループの資産管理銀行統合の意義と今後の動向について考察します。 報道内容 前回の統合基本合…

AIを利用した融資の今後~外部企業との連携こそが鍵~

銀行業界にもAIを活用する動きが広がっています。 今回の記事では、銀行のAI活用の事例を確認するとともに、銀行単独でのAI活用の限界についても考察します。 銀行業界のAI活用状況 今後の動き 口座異動情報の問題点 企業への融資取引における一つの到達点 …

みずほFGの採用半減というニュース自体は「価値無し」

みずほFGが採用を半減することが報道されています。 この動向を報道各社は「銀行の収益が苦境に置かれていることが背景にあり、今後、銀行は構造改革が必要となり人員・店舗等が大幅に削減される」との論調で報道しています。 今回の記事では、みずほFGの新…

リスク分担型企業年金という選択肢

第3の企業年金といわれるリスク分担型企業年金が徐々に広がる兆しが出てきました。 年金の用語は聞きなれないものが多く、制度も分かりにくいものが多いと思われます。 そこで、今回の記事ではリスク分担型企業年金がどのようなものであるのかについて確認し…

G20における仮想通貨の議論~規制の導入はこれから~

(出典 画像はG20 argentinaの公式ホームページより引用) アルゼンチンでG20が開催されていました。 この会議では仮想通貨の規制についても議論されるとされていました。 事前に公開されたFSB(金融安定理事会)議長の書簡では、仮想通貨について、金融の安…

みずほと静岡銀との提携~地銀の「何でもあり」の提携合戦の幕開けか~

みずほFGと静岡銀行(静銀)の提携が発表されました。 みずほと静銀が住宅ローンや資産承継・資産運用で役割分担をするというものです。 しかも静銀は、三菱東京UFJ銀行と親密な地銀です。 今回の記事では、このみずほと静銀の提携について考察します。 報道…

「紙をデジタルへ」ここまでRPAは進んでいる~三井住友銀行の事例~

IT

日本銀行金融機構局 金融高度化センターが2018年3月16日に「ITを活用した金融の高度化に関するワークショップ(紙をデジタルへ)」を開催しました。 このワークショップの内容は、銀行がデジタル化へ舵を切っていく方向性について示唆に富んだ内容となっていま…

G20での仮想通貨への規制強化議論はFSBに拒否されていないという事実

2018年3月19日からG20がアルゼンチンで開催されます。 この会議では仮想通貨についての規制も議論されることになっています。 ところが、本日、FSB(金融安定理事会)が仮想通貨の規制議論を拒否したとタイトルのニュースが流れていました。 金融安定理事会…

株式持合への包囲網~政策保有株式の動向についてのまとめ~

金融審議会「ディスクロージャーワーキング·グループ」の第3回議事録が開示されました。 このワーキング·グループでは政策保有株式(いわゆる持合株式) と役員報酬に関する「開示」(ディスクロージャー)について議論されています。 今回は、このワーキング·グ…

積水ハウスのクーデター(トップ交代)にみる取締役会・取締役の機能と役割

ハウスメーカー大手の積水ハウスの会長交代が話題となりました。 実質的な解任となり、クーデターともいわれています。 今回の記事では、このクーデターが起きた取締役会とは何か、どのような権限があるのかを確認し、今回の積水ハウスの事例ではどのような…

日銀考査方針(2018年度)にみる地銀の問題点

日本銀行(日銀)が2018年度の考査方針を発表しました。 今回の記事では、この日銀の考査方針について確認し、地銀に対して日銀が度のような問題意識を持っているか、すなわち地銀の問題点について考察します。 報道記事 日銀考査とは 日銀考査方針(2018年…

日銀の「デジタルトランスフォーメーション―RPA」セミナーの内容確認と今後の動向

AI IT

2018年2月に開催された金融高度化セミナー「デジタルトランスフォーメーション―RPA」の内容が日銀より公表されました。 このセミナーの内容は、銀行において今後どのような業務がデジタル化(自動化)されていくのかを探るヒントになります。 銀行員にとって…

金融庁の検査・監督基本方針に対する地銀の懸念

2017年12月15日に金融庁は「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)(案)」を公表し、この案につき意見募集を行っていました。 「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」(案)への意見募集(2月14日まで)について 今回…

私募リートにおけるセカンダリー取引について

私募リートが拡大しています。 2017年12月末時点では資産総額2兆4,398億円、23銘柄となっています。 出典 不動産証券化協会ホームページ 私募リート・クォータリー(2017年12月末基準) https://www.ares.or.jp/action/reserch/pdf/shibo_201712.pdf?open=1 …

スマートデイズ「かぼちゃの馬車」をめぐるトラブルはスルガ銀行を窮地に追い込むか

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資に関する問題でスルガ銀行への批判等が強まっています。 この「かぼちゃの馬車」の問題では、大半の所有者に物件の取得資金を貸し出していたのがスルガ銀行であること、そのスルガ銀行に対して物件のオーナー…

商工中金の民業圧迫とは結局のところ何か~今後のビジネスモデル~

商工中金の危機対応業務における不正行為は2016年10月に発覚し、2017年10月に2度目の業務改善命令が主務大臣から出されました。 そして、今回、会計検査院が政府系金融の民業圧迫について異例の調査に乗り出す旨の報道がなされています。 ここで改めて商工中…

高度プロフェッショナル制度にもきちんとした理解を

高度プロフェッショナル制度の導入が国会で議論されています。 この高度プロフェッショナル制度とは、法案として提出された当初は「ホワイトカラーエグゼンプション」として「残業ゼロ法」として批判されたものです。 今回の記事ではこの高度プロフェッショ…

裁量労働制対象拡大法案の見送りについて

今回の国会で審議され、様々な批判の声が巻き起こっていた裁量労働制の対象範囲拡大に関する法案について、政府が成立を目指す働き方改革法案から分離され、今国会出の成立を政府が断念したことが分かりました。 これに対して経済界から失望の声が挙がってい…