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ギャンブルをするなら投資をするべき~数字でみるギャンブルのアホらしさ~

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日本はギャンブル大国といわれています。

日本の「ギャンブル市場」は27兆円程度と推計されており、確かに大きな市場といえます。

なお、この27兆円という金額は、ギャンブルを行う個人が最初に払い込む金額であり、当せん金の払い戻し部分を控除した実態でみると市場規模は半分程度にはなると想定されます。

今回の記事では、日本のギャンブルについて状況を確認すると共に、ギャンブルにお金を投じるぐらいならば、株式等への投資を行った方が個人にとって有利であることを確認していきます。

「ギャンブルをするぐらいなら投資をすべき」であるのは、感覚的には当たり前と思われる読者も多いでしょうが、数字を基に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

現在は、インターネットにより少額でも投資が可能な時代となりました。

是非、少額でもギャンブルよりも投資を行って頂きたい、周囲にもお勧め頂きたいというのが筆者の想いです。投資家が増えることは間違いなく日本を活性化させるのです。

それでは、以下ご一緒にみていくことにしましょう。

ギャンブルと投資の違い

ギャンブルは、複数人以上の人間で、勝負事にお金を賭けて、勝者が一定割合の配分をうけるものです。

ただし、その配分額は賭け金の総額のうち、主催者が賭けをする場の運営料(てら銭)を取った後の金額となります。

賭け金の総額よりも少なくなった残りの金額を、参加者が取り合う仕組みといえます。

確率を考慮すると、賭けを続けていくうちに参加者は必ず損する仕組みです(主催者だけが儲かります)。

すなわち、参加者全体でみれば、ギャンブルは利益より損失の方が大きい「マイナス・サ
ム」のゲームです。

一方で、投資は「プラス・サム」の経済行為といえます。

本来、企業や国の経済の成長とともに、株式など資産の価値は増え、分け合う利益のパイも膨らんでいくからです。

なお、株式のデイトレードや為替のFXトレード(証拠金取引)などは、マーケットの運営
料(上記のてら銭)の額が相対的に小さいため、誰かの利益がほぼ誰かの損失になる「ゼロ・サム」のゲームとなっています。

これは投機といわれることもあります。

投機は資産価格の変動から利益を得ることが目的であり、投機家は、投機の対象とする資産の価値が増えるかどうかは基本的には考慮しません。

なお、仮想通貨は判断が難しい「資産」です。仮想通貨自体はキャッシュフローを生まないこと、国の経済力・信用力を背景とはしていないこと (したがって経済力の発展等による資産価値の増加は想定されないこと)もあり、仮想通貨への投資は、資産価格の変動から利益を得ることを目的としているからです。

しかし、「プラス・サム」「ゼロ・サム」のいずれにしろ、マーケットの主催者に取られる「てら銭」が低いという点からは、ギャンブルよりは参加者に有利なことは間違いありません。

以上がギャンブルと投資の違いにおける一般的な説明です。

ギャンブルの具体的な資金の流れ

ギャンブルと投資の違いについての説明を上記で確認してきましたが、あまり説得力はないかもしれません。

そこで数字でギャンブルの資金の流れがどうなっているのかを確認しましょう。

バカらしくてギャンブルに資金を投じることができなくなるかもしれません。

宝くじ

まずは、ギャンブルの代表例である宝くじです。

宝くじは運の要素しかありませんが、立派なギャンブルです。

以下、具体的な数字(2014年度)をご覧ください。

  • 販売実績9,007億円
  • 当せん金4,204億円
  • 差額4,803億円
  • 収益金(地方自治体収受) 3,581億円
  • 諸経費(印刷経費、販売手数料等) 1,113億円
  • 還元率46.7%

出展 宝くじ公式サイト他
https://web.archive.org/web/20160605020050/http://www.takarakuji-official.jp:80/about/proceeds/index.html

 

これでみて分かる通り、宝くじは購入者が払った代金の半分以下しか購入者には還元されません。

ほとんどは「リスクをとっていない」地方自治体に還元されるのです。

「個人の夢・期待等につけこんだ税金」といって良いでしょう。

日本スポーツ振興センター(toto、BIG等サッカーくじ運営)

次にサッカーくじを確認しましょう。

以下は日本スポーツ振興センターの2017年3月期決算から抜粋したものです。

  • スポーツ振興投票事業収入 1,130億円
  • 払戻返還金 559億円
  • 差額571億円
  • 国庫納付金66億円
  • 還元率49.5%

こちらのサッカーくじも購入者には半分しか還元されません。

ほとんどは運営者の懐に入る(もしくはスポーツ振興のために使われる)のです。

BIGは当選金額も大きく、頻繁にコマーシャルを流していることもあり「夢」があるようにみえますが、実態は搾取といって良いでしょう。

日本中央競馬会

ギャンブルの王道といえば競馬です。

公営のギャンブルとしては規模が最大であり、テレビ放送も多いため、馬券を購入したことがある方も多いのではないでしょうか。

以下は中央競馬会の2016年12月期決算の数値を抜粋したものです。

  • 勝馬投票券収入 26,913億円
  • 勝馬投票券諸支払金20,293億円
  • 差額6,620億円
  • 国庫納付金2,680億円
  • 還元率75.4%

先ほどの宝くじ、サッカーくじよりは還元率が高くなりました。

この理由は公営ギャンブル(競馬、競艇、オートレース)の当せん金は一時所得として課税されることが背景にあります。宝くじ・サッカーくじは課税されません。この課税を勘案すると、競馬は宝くじ・サッカーくじよりも大幅に有利ということにはなりません。

日本モーターボート競走会(競艇)

次に競艇です。

こちらは情報が少ないのですが日本モーターボート競争会のホームページより以下の数値が確認できます。

  • 総売上11,112億円
  • 的中払戻金75%

http://mbkyosokai.jp/concept

こちらも払戻金=還元率が高いのは当せん金が課税されるためです。

公益財団法人JKA (競輪・オートレース)

以下、競輪・オートレースの資金の流れも確認しましょう。

  • 競輪売上高 6,308億円(平成27年度)
  • オートレース売上高678億円(平成27年度)

上記数値は経済産業省製造産業局車両室の資料(2016年4月25日付)

 

  • 競輪還元率=75% (2008年度数値)
  • オートレース還元率=74.8% (2008年度数値)

出展 総務省宝くじ、公営競技・サッカーくじの実効還元率

パチンコ・パチスロ

最後に市場規模がもっとも大きいギャンブルであるパチンコです。

パチンコは民間が運営しているために統計資料に乏しい状況にあります。

そのため以下参考となる数値をあげていきます。

 

以下はパチンコホール大手のマルハンの業績です。

マルハンは非上場ながら業績を開示しています。

2017年3月期決算(連結)
売上高 16,788億円
売上原価 16,186億円
販管費 249億円
営業利益353億円
セグメント別
パチンコ売上高16,442億円
パチンコ営業利益295億円

 

これでみるとパチンコは還元率が高いギャンブルであるといえそうです。
売上高に比して利益額が少ないためです。

では、全体の市場規模はどの程度なのでしょうか。

日本生産性本部 レジャー白書2017では、パチンコの市場規模は216,260億円とされています。

またパチンコホール向けのシステム提供を行うダイコク電機が発表しているDK-SIS白書2016によるとパチンコホール業界全体の売上高、粗利益は以下の通りとなっています。

  • 総売上 201,000億円
  • 粗利 31,100億円

パチンコ業界については、パチスロメーカーへの支払等が不明であるため、還元率は計算ができません。

ただし、マルハンの業績等を勘案すると還元率は約85%との記述がネット上では散見されます。

毎日、パチンコホールに通いつめる個人も存在するぐらいですから、妥当な数値出はないかと筆者は考えます。

以上が日本のギャンブルを数字から押さえたものです。

読者の皆さんはどのようにお感じになったでしょうか。

ギャンブルは負けるためにゲームをしているようなものです。

長期的に見た場合には、ほとんどの人が資産を減らすだけなのです。

では、「投資」についても数字をみてみましょう。

読者の中には、証券会社がギャンブルの運営者のように、かなり儲けているように感じている方もいるかもしれません。

日本の株式市場の状況

今までギャンブルにおける資金の流れをみてきました。

では、投資の代表格である株式投資はどうでしょうか。

本来的にはギャンブルと比べるものではないと思いますが、上述の観点で字を確認してみましょう。

まず東証等を運営する日本証券取引所の2016年度の決算を確認します。

  • 株式等売買代金 7,346,547億円
  • 取引関連収益 457億円(※デリバティブ関連取引料含む)

ギャンブルとは単純比較はできないのですが、株式等売買代金の合計と比べると、日本証券取引所の取り分は「わずか」といえます。

また、投資家が株式投資する場合は、証券会社を通じて売買をします。

よって、証券会社に「抜かれている」手数料も検討する必要があります。

次の数値は日本証券業協会が発表している会員の2016年度決算概況です。

  • 営業収益(=売上高) 39,565億円
  • 委託手数料5,586億円

以上をまとめると、株式取引においては、いわゆるギャンブルと異なり当せん金の支払という概念は無いものの、売買代金が734兆円あるのに対して、日本証券取引所および証券会社が収受する手数料率は0.08%しかありません。
※日本証券取引所取引関連収益+日本証券業協会委託手数料ー6,043億円
6,043億円 ÷ 株式等売買代金7,346,547億円=0.08%

これが現実の数字です。

ギャンブルと投資の違いについて、損得がよく分かるのではないでしょうか。

筆者はギャンブルを必ずしも悪いことだとは思いません。

競馬を観るとロマンや面白さを感じる人もいるでしょうし、宝くじを買うと当選発表日まで楽しさを味わうことができる人もいるでしょう。

しかし、ギャンブルも投資も手元の資金を増加させたいという目的によってなされているものです。

その目的のためには、ギャンブルはあまりにも正反対の方向にあるということは否定できない事実ではないでしょうか。
冷静に、数字をみることが大事ということです。