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エンジェル税制という、株式投資家にも銀行員にも見逃せない武器

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エンジェル税制についてお聞きになったことはあるでしょうか。

現在、日本においては様々な投資対象・手法が存在します。

盛り上がりをみせている仮想通貨への投資もありますし、伝統的な株式投資や外貨投資に加え、NISA、iDeCoのような税制優遇を受けられる制度を利用した投資もあります。

そのように多様な投資がある中で注目すべき投資としてエンジェル税制を活用したベンチャー投資があります。

今回はこのエンジェル税制を活用した投資について考察します。

特に株式投資で利益を実現した投資家や、銀行のような金融機関の枠組みを超えてお客様にとっての最善の提案を考えたい銀行員等にとって認識しておくべき投資手法ですので是非ご一読下さい。

エンジェル税制の概要

エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促進するためにベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。

ベンチャー企業に対して、個人投資家が投資を行った場合、投資時点と売却時点のいずれの時点でも税制上の優遇措置を受けることができる、かなり強力な制度といえます。
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まずベンチャー企業へ投資した年に以下のAとBの優遇措置のいずれかを選択して税制優遇を享受できます。
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そして未上場ベンチャー企業株式を売却した年(売却損が発生した場合)には、未上場ベンチャー企業株式の売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できるだけでなく、その年に通算(相殺)しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と通算(相殺)ができます。

なお、エンジェル税制における株式を取得する方法(投資方法)については3つの方法があります。
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出典 経済産業省ホームページ
http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/

エンジェル税制の対象要件

エンジェル税制の優遇措置を受けるためには、個人投資家による資金の払込期日時点でベンチャー企業要件と個人投資家要件を満たさなければなりません。

以下ではベンチャー企業要件について確認しておきましょう。

ベンチャー企業要件

投資した年の減税措置(優遇措置AまたはB)毎に要件が異なります。売却した年の減税措置は、優遇措置A・Bの要件のいずれかを満たせば適用されます。
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上記図表に加えて以下の要件も充足する必要があります。

Ⅲ.外部(特定の株主グループ以外)からの投資を1/6以上取り入れている会社であること
Ⅳ.大規模法人(資本金1億円超等)及び当該大規模法人と特殊な関係(子会社等)にある法人(以下「大規模法人グループ」という)の所有に属さないこと
Ⅴ.未登録・未上場の株式会社で風俗営業等に該当する事業を行う会社でないこと

 

詳細については以下のリンク先(経済産業省ホームページ)をご参照下さい。

http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/subject/index.html

このエンジェル税制は使い方によっては非常に有用な税制です。

ある条件を満たした投資家にとっては利用しなければ損失といえるかもしれません。

以下で事例をみていきましょう。

エンジェル税制の事例

上述の通り、エンジェル税制を利用できるベンチャー投資では、所得税の控除(優遇措置A)もしくは株式譲渡益の控除(優遇措置B)が受けられます。

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優遇措置Aの場合

<前提>
所得金額(年収)500万円
ベンチャー企業への投資額100万円

<結果>
優遇措置Aを活用すれば20万円の税金を取り戻し可能

<計算式>
所得金額500万円ー(投資額100万円ー2,000円)=課税所得401万円
課税所得401万円 × 所得税率20%=20万円

<その他事例>
年収1,000万円、ベンチャー投資額200万円の場合、税金の戻りは約52万円

 

優遇措置Bの場合

<前提>
株式売買時の株式譲渡益 200万円
ベンチャー企業への投資額 200万円

<結果>
優遇措置Bを活用すれば40万円の税金を取り戻し可能

<計算式>
株式譲渡益200万円ーベンチャー企業への投資額200万円=株式譲渡益0円

 

以上につき如何でしょうか。

エンジェル税制の威力がどれだけすごいかお分かりになったのではないでしょうか。

もう少し事例をみていきましょう。
以下の事例(パンフレット)が参考となります。

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以上のようにベンチャー企業への投資額とほぼ同額を基本的には総所得金額から控除するか、もしくは株式譲渡益からベンチャー企業への投資額全額を控除できるか、という二つの選択肢がエンジェル税制にはあります。

事例をみると分かる通り、所得もしくは譲渡益の控除は実額にするとかなりの影響をもたらします。

エンジェル税制が強力なのはこの税務面でのメリットがあるためです。

エンジェル税制を有効に活用する場面

エンジェル税制を有効に活用するには、上記の優遇措置A、Bのどちらかを選択しますが、株式投資家であれば優遇措置Bが魅力的でしょう。

例えば、株式投資が好調でかなりの利益が出たとします。

その場合、一部の利益をベンチャー企業に投じることによって、もともとは納めなければならなかった税金を納めずに、自分の資産(=ベンチャー企業の株式)が増えることになります。

ベンチャー企業への投資額の全額を株式の譲渡益から控除できるのためです。

誤解を恐れずにいえば、本当に有望なベンチャー企業があり、その年に株式譲渡益が発生しているのであれば(そしてその譲渡益の範囲内でベンチャー企業への投資を行えば)、一円のお金もかけずにベンチャー企業の株式を手に入れることができるということです。

これはかなりの優遇措置ではないでしょうか。

確かにベンチャー企業への投資はリスクが高く、成功する可能性は低いかもしれません。

しかし、少額ずつでも様々な企業に投資を行い、リスクを分散することで大きな収益機会を得ることもできるかもしれません。

なお、留意点としては、上述の優遇措置は、ベンチャー企業投資を行った年の12月末時点で株式を保有していることが要件となっていますので、ベンチャー企業に投資して、すぐに転売したとしても優遇措置は受けられない(Q&A集)ことには留意が必要です。 http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/qa/index.html

なお、現在は個人でもベンチャー企業投資が行いやすくなりました。

例えば株式会社日本クラウドキャピタルが運営するFUNDINNOでは、このエンジェル税制に適合するような投資案件が募集されています(実際にエンジェル税制の対象かは各人でご確認下さい)。

FUNDINNO
https://fundinno.com/
(※なお、当サイトはFUNDINNOと一切関係ありませんし、広告料・紹介料は収受していませんので、その点はご認識下さい)

このようなリスクは高いけれども身近な投資で「遊ぶ」こともエンジェル税制を使えばできるのです。

エンジェル税制は株式投資家にとっては非常に使い勝手が良く(若干手続きは面倒かもしれませんが)、面白い制度なのです。

また異なる視点として、個人のお客様を担当する銀行員や証券会社社員にとっても、この金融のプロとして、自身にとっては何ら収益にならなくともお客様に情報提供することもアリではないでしょうか(会社で禁止されているならば別ですが)。

現在、金融機関は顧客本位の業務運営が求められています。

この顧客本位とは、本来であれば、自身が所属する会社の枠を超えて、顧客にとっての最善の提案をするということではないでしょうか。

このエンジェル税制のような制度をお客様に紹介する視点も持てると、さらにお客様から評価される渉外担当者になれるのかもしれません。

ぜひ読者の皆様もエンジェル税制についてご確認下さい。