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【余話】行動経済学の確定拠出年金への応用

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今回の記事は知人からもらったメールマガジンの内容をご紹介します。

非常に面白い記事だったので引用させてください。 

なお、下記のメールマガジンの文書は紙で渡されたものをスマホアプリの文書スキャナーで読み取ったものです。

ほとんど誤字もなく、アプリの性能に驚いています。

 

記事の内容としては、我々個人の選択というものは最初の設定に大きく左右されるため、やり方によっては「良い方向」に誘導できるというものです。

バイアスの事例を挙げてみましょう。

たとえば「男女の機会均等が叫ばれていますが、あなたは男性も育児に参加すべきだと思いますか」とのアンケートが配布されると、ほとんどの方は「参加すべき」と回答します。

「男女の機会均等」といわれたら、この用語の背景・趣旨・文脈からいって、男性も育児に参加すべきと「答えるべき」との判断が働くのです。

事例の二つめとしては「この法案は衆議院で与党が採決を強行し可決されました。こうした採決の強行を問題だと思いますか。問題ではないと思いますか。」と、新聞社やテレビ局から質問されたらどうでしょうか。

やはり、「問題である」と回答する人が多くなるのです。

今回ご紹介するメールマガジンは、このようなバイアスを良い意味で年金等の政策に導入するのは検討に値すると述べてます。

なお、「良い選択・結果」は、政治的な判断、印象論、ただの価値観では決めないで欲しいと筆者は思います。

「あくまで数値等の裏付けがあるからこのような選択を促している」ときちんと説明できるようなものであれば初期設定を使った選択の誘導も良いのではないでしょうか。

MUTB年金メールマガジン
日経新聞記事「良い選択」へ政策で誘導

平成29年10月18日

本日(2017年10月18日)の日経新聞「経済教室」で、今年のノーベル経済学賞に決まった、リチャード·セイラー米シカゴ大教授の「行動経済学」の記事が掲載されました。

個人の選択はデフォルト (初期設定)に大きく左右される(デフォルトバイアス)ため、個人の選択を良い方向へ導くための政策誘導が重要としています。

例えば、米国では企業年金の加入率と貯蓄率をあげるため、401kの自動加入方式と拠出額の自動引き上げ方式を導入することにより、加入者の増加と貯蓄率の増加が図られたとしています。

米国では、2006年の年金保護法により、401kの自動加入方式と拠出額の自動引き上げ方式が導入され、これに併せて米エリサ法でデフォルトファンドのセーフハーバールールと適格デフォルト選択肢(QDIA)が規定されました。拠出率については、最初は3%に設定し、その後自動的に拠出率を徐々に引き上げていく方式です。加入者について抵抗感のない少ない金額から拠出を開始し、徐々に拠出額を引き上げることにより資産形成を促進しようとする仕組みです。

また、英国でも私的年金の加入を推進するため、2012年に企業年金の未加入者に対して自動加入となる私的年金NESTを導入しました。

オーストラリアでも、1992年に私的年金スーパーアニュエーシヨンへの事業主の拠出が義務化されており、これらの国では私的年金の加入者と資産額が増加し、退職後所得のための資産形成につながっています。

行動経済学の中で「ナッジ(nudge)」という言葉がありますが、「ひじで軽く突く」という意味です。ちょっとしたきっかけを与えることで個人の選択を良い方向に導くことができるとするものです。このナッジによる効果的な政策介入により、個人の選択の自由を維持しながら意思決定を誘導する「リバタリアン·パターナリズム(自由主義的介入主義)」が企業年金の推進策としても有効となります。

今般の日本のDC等改正法においては、制度運営において適切なデフォルトファンドの選定とその理由の開示などが求められます。上述の国のように既存の制度に対する自動的な拠出の引き上げ方式といった「デフォルト」の設定等について、企業年金の更なる拡大のため、行動経済学に基づく「ナッジ」推進策も検討に値する思われます。