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MiFID2の影響~運用会社の成果報酬導入の背景~

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日経新聞にフィデリティが顧客から収受する手数料を運用成果に連動させる新制度を導入する旨の記事が掲載されていました。

今回はこの成果連動の運用手数料導入の流れについて考察します。

報道内容

日経新聞の記事によれば、英運用大手のフィデリティは「顧客から得る手数料を運用成果に連動させる新制度を導入すると発表した。上限と下限を設けたうえで、平均コストを従来の固定型より抑える。成果に対する投資家の視線が厳しくなっていることに対応」するとしています。

ただし、固定体系も残し、お客様が選択できるようにするようです。

(日経新聞記事)

http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXMZO21867160U7A001C1000000/

成果連動手数料の導入背景

資産運用業界ではアクティブ型ファンドについて、運用結果と対比したコストの高さに投資家から批判が出ています。

その流れのなかで、アクティブではなくインデックス・ファンドに資金が集まっている状況もあります。

(参考記事)

インデックス・ファンドへの資金流入が無視できなくなってきており、運用会社大手のフィデリティが先手を打ったということが今回の手数料体系の見直しに繋がっているのでしょう。

投資家からみるとフィデリティは投資家に配慮した、他の資産運用会社と比べるとフェアである企業に見えます。これはフィデリティにとっても良いアピールになります。

他社に先行して対応することで、投資家からの批判をうまく避け、逆に自社のブランド力向上に繋げることができるのです。

また、このタイミングで成果連動報酬を導入し、かつ平均コストを引き下げる背景には、もう一つの要因があります。

それがMiFID2です。

MiFID2の影響

MiFID2(第二次金融商品市場指令)は欧州で2018年1月から始まる欧州版金融商品取引法の改定のことをいいます。

このMiFID2が導入されると、証券会社がサービスとして提供している有価証券の売買執行とリサーチが分離され、各々のサービスに明確に値段がつくようになります。

フィデリティのような運用会社からすれば投資家に「証券会社に支払っているリサーチ費用(アナリストレポート等)は、本当に必要な調査だから費用を支払った」と説明しなければならなくなるのです。

運用会社の顧客である投資家からすれば、運用会社が外部の証券会社に調査費用を支払うことは、自分の投資にコストとして跳ね返ってきますから、少ない方が望ましいのは当然です。そして、運用会社は外部に調査を委託するのではなく、自社でやれば良いと考えるようになるでしょう。

よって、フィデリティだろうと、他の資産運用会社だろうと、今後、証券会社に支払う調査費用は間違いなく減少させることになるでしょう。

フィデリティがうまいなと筆者が感じるのは、この動きを自社のブランド力向上に活用したことです。

上述の日経新聞の記事は以下のように述べています。

欧州連合(EU)が18年初に導入する第2次金融商品市場指令(MiFID2)に対応する狙いもある。新規制は運用会社が証券会社に払う手数料について、取引の執行費用と調査費用を分けるよう求めている。フィデリティは新たな料金枠組みで、リサーチ費を平均手数料の下げによって相殺し、顧客に追加負担が生じないよう配慮する。

フィデリティは「元々」MiFID2に対応して調査費用を削減しようとしていたはずです。
この削減分を、自社の損益への影響は無いようにしながら、うまく顧客の利益になるように印象付けたということです。

これは戦略として成功するのではないでしょうか。
規制をうまく逆手にとった対応であり、他社にとっても参考となるものと思います。