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特定譲渡制限付株式とは

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先日記載した記事にもあるように株式報酬の導入が盛んになっています。


その株式報酬の類型のひとつである特定譲渡制限付株式制度について今回は考察します。

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特定譲渡制限付株式とは

特定譲渡制限付株式とは、譲渡制限のついた株式を報酬として交付し、あらかじめ定める条件を充足することで譲渡制限を外す仕組みです。

法的にいえば、会社が役員に対して報酬債権を付与し、役員からその報酬債権の現物出資を受けるのと引き換えにその役員に対して一定期間の譲渡制限が付された株式を交付する制度となります。

この制度は、2016年4月に経済産業省から特定譲渡制限付株式の導入の手引きが公表され普及が加速しました。

従来、会社法では現物株式を報酬として直接交付することはできないとされていたため、現物株式の交付と同等の効果がある株式報酬型ストック・オプション(いわゆる1円ストック・オプション)や株式給付信託が、役員向け株式報酬の主流となっていました。

特定譲渡制限付株式として現物株式の交付が可能になったことで、株式報酬制度の選択肢が広がったといえます。

導入状況

特定譲渡制限付株式の導入社数は2016年6月までは3社でしたが、2017年5月までの間に117社まで急増しました。ほとんどの企業がこの1年以内に導入していることになります。

導入企業の約半数は時価総額300億円以下の企業です。上場企業のうち、比較的規模が小さい企業が導入しているといえます。

各社のプレスリリースを確認する限りでは業績連動条件がないものがほとんどを占めているものと推測されます。

税務面での問題

2017年度の税制改正によって特定譲渡制限付株式を交付する際に会社における税務上の損金と認められる幅が狭くなっています。
特定譲渡制限付株式においては業績連動によって最終的に取得する株式が変わるような仕組みは損金にはなりません。

税務上の損金として認められるパターンは業績連動型ではなく交付する株数を固定するタイプのものだけです。

つまり役員が在任中に役職等に応じて普通に自社の株式を受けとるだけということになるのです。

昨今の「役員報酬は業績に連動すべき」という流れからみると若干使いづらいことになります。

特定譲渡制限付株式の問題点

特定譲渡制限付株式には問題もあります。

それは業績連動型を導入しづらいことです。

当然、上記の税務上の問題点もありますが、より問題なのはインセンティブとして正しいかということと、議決権・配当金の問題です。

まず、特定譲渡制限付株式を業績連動型にしようとすると、最初に株式を付与した後に、業績達成度合いに応じて株式を「没収」することになります。「追加」で株式を付与することはないのです。これは仕組み上の問題であり、最初に付与できる上限の株式を渡すことから起きる問題です。

目標をどれだけ達成しても貰える株式は増えず、逆に目標を達成しなければ手元にあったはずの株式を没収されるなら、株式を付与された役員には適切なインセンティブが働いているといえるでしょうか。

また、没収されることが想定されるのであれば、没収される前に生じていた特定譲渡制限付株式にかかる議決権や配当金の扱いはどうなるのでしょうか。業績の評価が出ていない間でも上限一杯の株式をとりあえず貰っている役員に配当金は交付されるのです。

以上からみてくると、業績連動型の特定譲渡制限付株式は導入が難しいことがお分かりになるでしょう。

これが特定譲渡制限付株式の問題点といえます。

特定譲渡制限付株式のメリット

しかしながら特定譲渡制限付株式にはメリットもあります。

一つは信託銀行が販売しているような株式給付信託よりも導入コストが安いと想定されることです。信託型は仕組みが複雑になる分、導入コスト・ランニングコストも高くなる傾向があるようです。

もう一つのメリットは、役員に株式を交付している以上、株主に対して役員は「株主と同じ船に乗っている」すなわち株主と利害を共有しているといえることです。

企業は自社の株主との関係、自社の規模・注目度、役員の数、事務局の負荷等を考えながら株式報酬の是非に加え、仕組みの選択をしていきます。

まずは株主との利害共有が重要だと考えるならば特定譲渡制限付株式は十分に選択肢になるでしょう。

銀行でも系列の証券会社が特定譲渡制限付株式を扱っていることもあります。この機会にセールスしてみるのも悪くないかもしれません。

 

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