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AIは銀行員の雇用を奪うのか

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MIT Technology Reviewに以下の記事が出ていました。
以下引用します。

https://www.technologyreview.jp/
ゴールドマン・サックス、
自動化でトレーダー大幅減
3割がエンジニアに

世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスは金融取引の自動化を進め、全社員の3分の1がエンジニアになった。2000年には600人いたニューヨーク本社の株式トレーダーは、今では2人しかいない。
by Nanette Byrnes2017.02.08

AIは銀行員の雇用を奪うのでしょうか。銀行員の数はこれから劇的に減少するのでしょうか。今回は雇用におけるAIの影響について考察します。

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足元の状況

先ほど引用した記事で触れた通りゴールドマン・サックスはAIの導入にかなり積極的に動いています。

例えば、財務分析プログラムを導入し「50万ドルの年棒をもらっている専門アナリストが40時間かけて行う作業をロボットは数分で処理することができる」ようにしています。

また自動株式取引プログラムの導入により株式取引10名分の仕事がプログラマー1名にとって代わられているともされています。

日本の事例では富国生命の事例が大きな話題となりました。

富国生命ではAIを活用した業務効率化で医療保険などの給付金の査定部署の人員を3割程度削減しています。日本IBMのワトソンを使ったシステムを2017年1月から導入し、医師の診断書から入院給付金支払いに必要な情報をAIが自動的に読み取り給付金額の算出等をしています。

このAIシステムのコストは導入に約2億円、保守管理に年1,500万円、一方で人件費の削減効果は年1.4億円(34名分)と想定されています。

これは10年だとシステムが3.5億円のコストであるのに対して人件費は14億円となり、毎年の削減額は多大なものになります。

また、効果が出ているかは不明ですが第一生命やみずほ銀行もワトソンを導入している模様です。

銀行界でも動きがあります。

三菱UFJフィナンシャル・グループは今後10年間で1万人規模の人員削減を検討しています。フィンテック等で業務合理化を進め、バックオフィスの事務効率化や店舗閉鎖・軽量化により余剰人員の削減に繋げる模様です。

我が国全体のAI普及に伴う雇用への影響

三菱総合研究所の試算によると、AIが社会に普及すると2030年の雇用者数は▲240万人となっています。主な仕事の増減では、一般の事務職▲64万人、販売職▲65万人、工場など生産現場職▲150万人、建設現場等の作業員▲64万人に対して、AIロボット関連の専門職・技術職+270万人と予想されています。

いわゆるホワイトカラーの仕事などもAIに代替される日が来ることが予想されています。

日本の銀行における雇用への影響

上述の通り日本においてもAIの普及は人間が行っている業務のかなりの部分を代替することになるのは間違いないでしょう。

銀行には大量の事務作業があります。伝票処理、法令順守のチェック、業界調査、財務状況チェック、銀行自身の決算作業など数えればきりがありません。このような業務は間違いなく自動化されていきます。

また、新規取引先開拓等に向けたアプローチリストの作成、貸出審査、債券・株式運用銘柄調査等大量のデータを処理・勘案する業務も同様にAIのアシストを受けることになります。

最終的には提案書の作成、貸出等稟議書類作成、資金決済等もAIが代替できるかもしれません。

ただし、銀行はサービス業でありサービスを購入されるお客様は人間でありAIではありません。意思決定を人間が握っている間は、最後の意思決定を促す役目は人間である銀行員が負うことになるのではないでしょうか。

大多数の業務はなくなるかもしれませんが、「人」に関連する業務だけは残るというのが筆者の考えです。

解雇規制と銀行員の今後の雇用

なお、日本においては解雇規制というものがあります。

労働契約法には解雇に関して「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。

銀行が業績不振に陥った場合等のように、人員のリストラがどうしても必要になる場合もあるでしょうが、このような整理解雇でも4つの要件が必要とされており、安易な解雇は厳しく規制されています。

  • 人員整理の必要性・・・特定の事業部門の閉鎖の必要性等
  • 解雇回避努力義務の履行・・・配置転換をする余地のないこと等
  • 被解雇者選定の合理性・・・選定が客観的・合理的であること等
  • 手続の妥当性・・・労使協議があること等

すなわち、少なくとも日本において、かつ正社員においてはAIが普及し現在の仕事が代替されるといっても簡単に解雇される訳ではないのです。

では、どのようなことが想定されるかと言えば、今までの業務とは異なる新しい業務を習得していかなければ銀行内で解雇されないにしても相応の処遇を得ることができなくなる可能性が高いということです。

事務ではなく営業、データの入力ではなくデータ分析もしくは分析プログラムの作成、提案資料作成よりも人間力の構築等今までとは異なったキャリアを目指すことが必要になってくるのです。

銀行員は解雇されるかもと心配しすぎることなく、ただし、現状に安住せず常に世の中の流れによって「変わり続ける」ように意識して働いていくことが生き残り策となるのです。

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