銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

大学ファンドは気概を持て

大学の研究力強化のために政府が設立した10兆円規模の「大学ファンド」の2022年度運 用実績が604億円の赤字となったと発表されています。初の運用実績公表の段階から「つまずいた」と報道しているメディアもあります。大々的に発足が報じられた(そして議論…

メディアをあきらめるならば超優良不動産会社になる朝日新聞社

新聞大手の朝日新聞社が2023年3月期の決算を発表しました。朝日新聞社は2年前に大赤字を計上し、大規模なリストラを行い経営再建中です。新聞離れは止まっておらず、業績は低迷してきました。 今回は朝日新聞社の業績を簡単に確認していきたいと思います。 …

銀行系証券会社から運用商品を購入しないことを強くお勧めする理由

ちばぎん証券という証券会社が仕組み債の販売で金融庁から業務改善命令を受けました。親会社の千葉銀行およびその提携相手である武蔵野銀行も同様です。元々は、証券取引等監視委員会が、ちばぎん証券等3社に対し、仕組み債を顧客に十分な説明なく販売してい…

これからの日本人は新築に住むことが難しくなるかもしれない

野村総合研究所(以下野村総研)が日本における 「2023~2040年度の新設住宅着工戸数」「2022~2040年のリフォーム市場規模」「2025~2040年度の住宅建設技能者数」の予測結果を公表しました。野村総研の住宅関連の予測は、様々な分野で引用される注目度の高い…

新NISAは庶民に十分すぎるほどの制度

2024年以降、NISAの抜本的拡充・恒久化が図られ、新しいNISAが導入される予定です。 まだあまり盛り上がっていないように筆者は感じるのですが、新NISAは個人が資産運用を行うにあたって是非とも取り組むべき制度です。 恐らく銀行や証券会社は新NISAではほ…

総務省の家計調査報告の内容を確認すると危機しか感じない

総務省が6月6日に2023年4月の家計調査を発表しました。 この家計調査については、「実質消費4.4%減少しており、2か月連続減少」であると報道されていますが、内容について詳細は認識が無い方多いのではないでしょうか。 筆者は、当該家計調査を見て、少し暗…

2023年3月期は過去最高の決算を叩き出した日本銀行

日本銀行が2022年度(2023年3月期)決算を発表しました。日本銀行は国債を大量に保有していることから、金利上昇が進むと債務超過に陥ると懸念されています。2022年度の決算はどのようなものだったのでしょうか。今回は日本銀行の決算を簡単に確認してみたい…

楽待不動産投資新聞に『米国で起きている銀行の融資厳格化、日本でも起こりうるのか?』を寄稿致しました

楽待不動産投資新聞に『米国で起きている銀行の融資厳格化、日本でも起こりうるのか?』を寄稿致しました。 今回は、このような銀行不安が起きている米国で、銀行の融資姿勢にどのような変化が起きているのかを確認していきます。加えて、米国の事例が日本の…

楽待不動産投資新聞に『スルガ銀行とクレディセゾン、提携の裏にある「本当の狙い」』を寄稿致しました

楽待不動産投資新聞に『スルガ銀行とクレディセゾン、提携の裏にある「本当の狙い」』を寄稿致しました。 クレジットカード大手のクレディセゾンと地方銀行のスルガ銀行が業務資本提携を発表しました。 両社とも不動産分野に強く、一見すると良い組み合わせ…

専業・パート主婦のための3号被保険者制度は無くなる未来しか見えない

2024年に5年に一度の公的年金の「財政検証」が実施されます。この財政検証に伴って年金制度の改正が行われるのが通常です。 近時、年金制度の見直しで注目されているのは年金の「第3号被保険者」の扱いです。 第3号被保険者とは、国民年金の加入者のうち、厚…

日本の資産運用業界の問題点

我々が投資、資産運用について考える機会は近年増加の一途をたどっています。 SBI等のネット証券の台頭、NISA・iDecoといった制度の創設、会社でのDC制度導入、老後の資金不安、日本の年金制度への信頼低下、FIREへのあこがれ等、様々な要素が絡み合い、この…

SVBと邦銀との違いを日銀が解説している

米銀のシリコンバレーバンク(SVB)が破綻してから1か月超が経ちました。 預金が次々と流出し破綻にわずか数日で破綻に追い込まれてた現代の取り付け騒ぎは象徴的な事件として皆様の記憶にも残ったのではないでしょうか。 このSVBやその後のシグネチャー銀行…

黒田総裁退任会見にみる日銀金融政策の総括

黒田日本銀行(日銀)総裁が退任しました。10年間と歴代最長の就任期間を誇った黒田総裁の退任は一つの時代が終わったとも感じられます。 この黒田日銀総裁の退任記者会見の内容は報道もされていますが、実際のやり取りをみると日銀の大規模金融緩和に対する…

女性が育児で正規雇用を手放した場合の経済的な損失は1.5億円?

新卒採用の慣行が続く日本において、今年も新入社員が入社した姿が報道されています。新入社員が参加する入社式やまだまだ似合わないスーツを着用した新入社員の姿は、この時期の風物詩と言って良いでしょう。但し、この新入社員というのは通常は正規雇用の…

クレディ・スイスのAT1債無価値化について簡単に考察する

経営危機が懸念されていたクレディ・スイス銀行のAT1債が無価値化したことが、金融業界では大きな話題となっています。 今回はAT1債とは何か、そして今後どのようなことが想定されるのかについて簡単に確認していきたいと思います。 AT1債とは クレディ・ス…

破綻したシリコンバレー銀行とメガバンクを簡単に比較する

米国シリコンバレー銀行が破綻しました。リーマンショック後で2番目の規模の銀行が破綻したことになります。日本の地銀最大手である「コンコルディア・フィナンシャルグループ」(横浜銀行と東日本銀行の持ち株会社)の総資産は24.6兆円ですが、このコンコル…

銀行の本質は「信用」にある

全米16位の規模であるシリコンバレー銀行が破綻しました。リーマンショック以降では第2位の規模の銀行倒産です。これはFRBの金融引き締めの副作用という側面もあり、大きなニュースと言えるでしょう。 このシリコンバレー銀行の破綻は、明らかに銀行の取り付…

グーグル日本法人の従業員が労働組合を結成した背景を考察する

米グーグルの日本法人で働く従業員が初めて労働組合を結成しました。グーグルは1月に、全世界の従業員の6%にあたる約1万2千人の従業員を解雇すると発表しています。新たに結成された労働組合によると、日本法人でも代表から2月初旬に「3月中に何らかの通知…

現代の「五公五民」というワードを客観的に見てみる

五公五民という単語がトレンド入りしたと話題になっています。 五公五民とは、教科書で習っているでしょうからご記憶の方は多いと思いますが、江戸時代の年貢収取率を表現した言葉です。全収穫量の 50%を領主が取り、残り 50%が農民の手元に残される場合を五…

男性がデート代を払うのが当たり前ではダメなのか

女優の方がTwitterで「デート代、なんで男が払わなくちゃいけないのって言葉 女性はそのデートの為に準備して洋服、メイク、美容代も入ってると思う 全部安くない。リップだってブランドなら4000円はする」「可愛いって言って欲しくて、その為に凄く早起きし…

金融専門家の予想を信用してはいけない理由

2023年が始まって1か月が経ちました。 年初の見通しから比べると米国ではインフレが落ち着いてきたとされていますし、日本も金利は一段の上昇とはなっていません。 2023年は、ロシアのウクライナ侵略がどうなるのか、エネルギー価格はどうなるのか、インフレ…

地方銀行から投資信託を購入しなくても良いですよね?

金融庁は、国民の安定的な資産形成を図るためには、金融商品の販売・助言・商品開発・資産管理・運用等を行う全ての金融機関等が「インベストメント・チェーン(投資家の投資対象となる企業が中長期的な価値向上によって利益を拡大し、それに伴う配当や賃金…

万年筆を活かす最高のノート

筆者は、筆記具として万年筆を使っています。 ボールペンやシャープペンシルも使ってきましたが、万年筆の書き心地にはかないません。「書くことそのものが喜び」と感じられるような筆記具は、万年筆しか知りません。書き心地のレベルが違うのです。ついつい…

2023年の物価動向を日銀はどのように見ているのか

2023年が始まりました。 街中には昨年と比べて人が溢れており、デパートも神社も混んでいたように思うのは筆者だけでしょうか。 昨年は戦争とインフレの年でしたが、今年はどのような年になるのでしょうか。 物価が次々と上昇しているのは生活の中で実感して…

2022年は「戦争とインフレ」の年

読者の皆さんにとって2022年はどのような年だったのでしょうか。 筆者にとっては、完全に流れが変わったと感じた年でした。 2020年からコロナ禍が始まり、時間が失われたり、止まったりしているように筆者は感じていましたが、それは幻想だったと思わされま…

日本銀行はかなり追い詰められている

日本銀行 (日銀) 2022年度上半期 (2022年4~9月) 決算が発表されました。ニュースで、日銀が保有する国債で 8,749億円の含み損が発生していることがクローズアップされていたことを記憶している方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、日銀はサプライ…

FTX の破綻は過去に繰り返されてきた典型的なパターンの一つ

暗号資産(仮想通貨)交換業者として世界大手のFTXが破綻しました。暗号資産業界では過去最大の破綻とされており、暗号資産業界のリーマンショックとも言われています。 この破綻の影響で、 個人投資家が巨額の暗号資産を失うリスクが改めて意識されたことか…

働いている皆さん、スシローの賃金未払い問題を確認してみませんか?

回転ずしチェーン業界最大手のスシローが揺れています。 スシローで労働問題が相次いでいるとして、アルバイトの男子大学生2人が2022年10月に記者会見し、労働組合「回転寿司ユニオン」の結成を発表しました。勤務前の手洗い等の準備時間を勤務時間に含めて…

ABEMAがワールドカップ中継を無料で出来るワケ

サッカーワールドカップ全64試合を無料放送中のABEMAが、日本vsスペイン戦などが生中継された12月2日の視聴者数が1,700万人を突破し、開局史上最高数値を記録したことを発表しました。ABEMAの視聴者数は、日本vsドイツ戦で初めて1,000万人を突破し、日本vsコ…

テレビ局の経営に起きている変調とは

テレビがオワコンと言われるようになってから、結構な時間が経ちました。 それでもコロナ禍においては外出が出来ない人たちがテレビを見ていたこともあるのでしょう。テレビはここ暫く持ち直してきたように感じられていました。 ところが、2022年度上半期の…