銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

フィンテック

資金移動業の規制が緩和されたらMUFGコインは無意味になる可能性も

日本政府が銀行以外の事業が行う「資金移動業」の規制緩和を検討していると報じられています。 この規制緩和はフィンテック企業等の「送金業務」への参入をさらに促すものになりますが、他にも影響を与えることが予想されます。 今回は資金移動業の法規制見…

キャッシュレス化に関係するデータと現状分析~日銀レポートより~

日本銀行が「キャッシュレス決済の現状」を発表しました。 この報告書はまさにキャッシュレス化に関係のある様々なデータがまとめられています。 今回は、このレポートからキャッシュレス化について考察していくことにしましょう。 日銀の決済システムレポー…

メガバンクの情報銀行への取り組み~MUFGの事例~

情報銀行という言葉を耳にする機会が増えてきています。 先日、金融庁が開催している金融審議会「金融制度スタディ・グループ」では、まさに情報銀行への取り組みについて紹介されていました。 今回は、この銀行における情報銀行への取り組みについて確認し…

仮想通貨における今後の動向~金融庁の研究会から~

金融庁が開催している「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第4回)の議事録が公開されました。 この研究会では、仮想通貨に対する今後の規制等について有識者の間で議論がなされています。 仮想通貨の取引所、マイナーの責任、税制等、幅広く議論がなされ…

政府のキャッシュレス化の動きは止まらない

政府がキャッシュレス化を推進するために本腰を入れようとしています。 2018年4月には経済産業省を中心として「キャッシュレス・ビジョン」がまとめられ、公表されました。 キャッシュレス化は日本の産業育成にとっても、インバウンド消費の拡大や旅行地とし…

金融庁の仮想通貨交換業者への検査結果は一読の価値あり

金融庁が「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめ」を発表しました。 これは、コインチェックが不正アクセスを受け、ネットに接続された状態で管理していた暗号資産(※金融庁は当該公表では仮想通貨ではなく暗号資産としています)が流出す…

仮想通貨のカストディー事業は新規参入余地あり~ゴールドマン・サックスの取組検討~

ゴールドマン・サックスが仮想通貨ファンド向けのカストディー業務を検討していると報道されています。 これは面白い切り口だと思います。 今回は、仮想通貨のカストディー業務(カストディアン)について考察します。 報道内容 カストディアンとは 仮想通貨の…

給与・賃金のデジタルマネー払いの課題と展望

「給与のデジタルマネー払いを可能にしてほしい」との規制緩和要望が出ていることが、日経新聞にて報道されました。 非常に面白いアプローチです。 しかし、厚労省はこの規制緩和を簡単には認めない方向のようです。 今回は、なぜ給与・賃金にデジタルマネー…

フィンテックにおける融資サービスは既存銀行を駆逐するか

IT/フィンテック企業がデータを活用し銀行業務(の一部)に進出していく動きが加速してきています。 その中でも、データを活用し、銀行以外の企業が行う融資は「オルタナティブ(代替)・レンディング(貸出)」と言われるようになってきています。 今回は…

APIが銀行に与える影響~日銀ワークショップでの意見~

2018年7月に日銀主催のワークショップの議論内容が開示されました。 このワークショップではオープンAPIを議論しています。 ワークショップにおける自由討議内容は非常に示唆に富んだものとなっていますので、今回はこの自由討議内容を確認していきます。 ワ…

日本でロボアドが広がらないのはサービスの問題では?

ロボット・アドバイザー(通称ロボアド)というサービスをお聞きになったことはあるでしょうか。 簡単に言えば、AIもしくはプログラムが個人投資家に投資運用を指南するサービスです。 このロボアドは米国では相応の人気があるようですが、日本では期待通り…

MUFGのAI投信組成をニュースとするのは疑問アリ

MUFG傘下の三菱UFJ国際投信がAIを活用した投資信託を8月に発売すると発表しました。 日経新聞の報道では「全てをAIに任せる投信は日本初」としています。 今回は、MUFGのAI投信はどのようなものか、AI運用とはそもそもどのような仕組みなのか、AIファンドの…

MUFGの情報銀行への期待と不安

MUFG傘下の三菱UFJ信託銀行が情報銀行への参入を表明しました。 そもそも情報銀行とはどのようなものなのでしょうか。銀行が事業として営むものなのでしょうか。 そして、銀行が運営する情報銀行は成功するのでしょうか。 今回はMUFGの挑戦について考察しま…

LINEは決済革命を起こせるのか

LINEが決済分野で攻勢に出ようとしています。これは既存の銀行にとっては大きな影響をもたらす可能性があります。LINEが狙う「決済革命」がどのような意味を持ち、影響があるのかについて考察します。 報道内容 LINEの発表内容 LINEが狙うもの LINE PAY普及…

API(Application Programming Interface)とは

API(Application Programming Interface)という言葉をお聞きになった読者もいらっしゃるかもしれません。今般、日本銀行が発表した日銀レビュー・シリーズ(※)に最近話題に上るようになったAPIの非常に分かりやすい解説がありました。今回は、このAPIにつ…

仮想通貨に対する各国当局者の発言まとめ

金融庁が 「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第3回)を開催しました。 この研究会では、金融庁の事務局が提示した資料に、仮想通貨および関連技術について、各国当局者によってなされた指摘がまとめられています。 今回の記事では、この各国当局者の仮想…

AIの銀行への導入実験~社員監視も可能に~ 

金融庁が「FinTech実証実験」の3件目の認定案件を公表しました。 この実験では人口知能(AI)が、金融業界における人材の課題や働き方改革の推進に対してどの程度貢献できるかが実験されます。 今回はこの実証実験の内容について考察するとともに、金融機関…

キャッシュレス化阻害要因と今後の日本における政策の方向性

キャッシュレス化を政府が推進しようとしています。 2018年4月には経済産業省を中心として「キャッシュレス・ビジョン」がまとめられ、公表されました。 キャッシュレス化は日本の産業育成にとっても、インバウンド消費の拡大や旅行地としての魅力を高めるた…

ICO普及に向けたルール制定への研究会提言~ICO普及は日本の閉塞感を突破する一助では~

2018年4月にICO ビジネス研究会が提言レポートを出しています。 ICOビジネス研究会は、多摩大学大学院教授でルール形成戦略研究所長の国分教授を座長にし、産業・専門分野の会員や有識者らで構成されています。 当該レポートは2017年11月から2018年3月にかけ…

仮想通貨交換業者に対しての金融庁の検査結果は「かなりの闇」

金融庁はコインチェックの仮想通貨流出事件を契機に仮想通貨交換業者への立ち入り検査等を実施しました。 2018年4月27日に開催された「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第2回)では、金融庁の立ち入り検査の結果について概要が報告されています。 今回は…

銀行の口座開設時におけるネット完結の解禁~既存のルール確認~

一部報道で、警察庁や金融庁などが金融機関の口座開設時に義務付けられている顧客の「本人確認」を、ネットで完結できるようにする調整に入ったと報じられました。 今までは、最終的に郵便物を送って本人か確かめる必要があったものを、例えば「ネット上のビ…

中央銀行発行デジタル通貨は既存の銀行システムを破壊するか

日本銀行(日銀)が、雨宮副総裁がスピーチをした「デジタル時代と中央銀行(IMF・金融庁・日本銀行共催 FinTechコンファレンスにおける挨拶)」の邦訳を公表しました。 このスピーチには中央銀行が法定通貨のデジタル化をどのように考えるかの示唆が含まれ…

ICO(Initial Coin Offering)の状況まとめ(2018年4月)

2018年4月に金融庁主催の「仮想通貨交換業等に関する研究会(第1回)」が開催されました。 上記研究会には、みずほ証券がICO(Initial Coin Offering)についての解説資料を提出しています。 出典 金融庁ホームページ (みずほ証券資料) https://www.fsa.go…

仮想通貨についての現状(2018年4月)

2018年4月に仮想通貨交換業等に関する研究会(第1回)が開催されました。 この研究会は仮想通貨交換業をめぐる諸問題について制度的な検討をするために金融庁が設置したものです。 今回は、この研究会に報告された日本仮想通貨交換業協会の資料から仮想通貨…

 三菱UFJ銀のAI融資はいつか来た道か~スコアリング融資との比較と課題~

三菱UFJ銀がAIを使った中小企業向け融資を始めるようです。 この話題を聞くと10年以上前に流行ったスコアリング融資の失敗を思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回の記事ではAI融資とスコアリング融資を比較し、AI融資の成否について考察しま…

AIを利用した融資の今後~外部企業との連携こそが鍵~

銀行業界にもAIを活用する動きが広がっています。 今回の記事では、銀行のAI活用の事例を確認するとともに、銀行単独でのAI活用の限界についても考察します。 銀行業界のAI活用状況 今後の動き 口座異動情報の問題点 企業への融資取引における一つの到達点 …

G20における仮想通貨の議論~規制の導入はこれから~

(出典 画像はG20 argentinaの公式ホームページより引用) アルゼンチンでG20が開催されていました。 この会議では仮想通貨の規制についても議論されるとされていました。 事前に公開されたFSB(金融安定理事会)議長の書簡では、仮想通貨について、金融の安…

G20での仮想通貨への規制強化議論はFSBに拒否されていないという事実

2018年3月19日からG20がアルゼンチンで開催されます。 この会議では仮想通貨についての規制も議論されることになっています。 ところが、本日、FSB(金融安定理事会)が仮想通貨の規制議論を拒否したとタイトルのニュースが流れていました。 金融安定理事会…

私募リートにおけるセカンダリー取引について

私募リートが拡大しています。 2017年12月末時点では資産総額2兆4,398億円、23銘柄となっています。 出典 不動産証券化協会ホームページ 私募リート・クォータリー(2017年12月末基準) https://www.ares.or.jp/action/reserch/pdf/shibo_201712.pdf?open=1 …

地銀でのスマホ決済への取り組みは早い者勝ちの可能性大

近時、地銀(およびりそな銀行)のスマホ決済サービス導入のニュースが相次ぎました。 今回の記事では地銀のスマホ決済サービスへの取り組みについて考察します。 地銀等の近時の動き 【背景と概要】 福岡銀のスマホ決済開始(日経新聞記事) クレジットカー…